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評価:
川上 未映子
文藝春秋
¥ 1,404
(2014-07-09)
コメント:きみが覚えていなくても私が覚えているよ。
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「きみは赤ちゃん」を読みました。
川上さんの初めての妊娠・出産・子育てを綴ったエッセイです。
妊娠中の体の変化や、出産後のプレッシャー、息子に対するさまざまな想い。
川上さんはもともと繊細な方なのか女性ホルモンが関係したのか、その両方だと思いますが悩んでよく泣いていた描写がエッセイのあちらこちらにでてきます。
私も川上さんほどじゃないけれど、辛かったこと・苦しかったことを思い出しました。
妊娠することって簡単じゃあないんだね!とまず「基本の『き』」から始まり、妊娠中期には逆子と診断され「どうしてこうなった」と憤りを感じ、健診では医師の傲慢さにイラついたり…。
出産後1週間は娘とふたりっきりの病室。
川上さんは子供とふたりっきりの病室で「悲しいのか苦しいのかわからない涙があふれて止まらなくなった」と書いていました。
私は、なんだか不思議な気持ちだったな。
ホントに産んだんだなー。私が母親になったのかー。自分でも信じられん、と思っていました。
母性本能もあまりわかなかった。
正直に言うと、川上さんのように「この子のためなら死ねる」という気持ちはいまだにない。
子供のためなら体を張れるけれど、死にたくはない。まだまだ自分が可愛いんだと思います。
そんな私でもエッセイ終盤の「夢のようにしあわせな朝、それから、夜」と「ありがとう、1歳」の章は泣ける。
赤ちゃんは今、自分の身に起きていることを覚えていない。でも、私がちゃんと覚えているよ。